飲食弁護士が解説するフランチャイズ契約を始めるポイント

飲食業を経営する中で、フランチャイズ本部の構築は売り上げを伸ばし、事業を発展する中で有力な選択肢です。一方で、法律上の注意点も多く、弁護士によるアドバイスやチェックなしでは訴訟も含めたトラブルに発展する可能性があります。契約書の作成時点で防げるものも多いため、飲食店がフランチャイズ本部を構築するにあたって、絶対に抑えておきたいポイントを解説します。

飲食店フランチャイズ契約の内容について

フランチャイズ契約は、本部側が、ブランドやメニュー、商標、仕入れルートなどを加盟店に使わせると共に、継続的な運営指導を行う一方で、加盟店側は、これに対する対価として加盟金やロイヤリティを支払うものです。

 フランチャイズ契約の内容は、チェーンごとで様々ですので、本部側も加盟店側も、どのような権利と義務が発生するのか、大きく言えば、本部は加盟店に対し何を提供し(フランチャイズ・パッケージ)、それに対して加盟店はどのような義務を負い、費用を払うのか、といった点をしっかりと確認した上で、契約を結ぶ必要があります。

営業秘密の保護について

 フランチャイズ契約は、締結より前に色々な段階を踏みます。大規模チェーンの場合、本部側が行う説明会に、加盟希望者が参加し、加盟を検討するところから始まりますが、小規模な場合は、本部のHPに加盟店募集のページを掲載し、それをみた加盟希望者が問い合わせたり、本部の営業が個人的な関係から加盟希望者を探したりといったことも多くみられます。

 いずれにせよ、そうして本部と加盟候補者が引き合った後、本部は加盟店に対して、具体的な条件を開示して(法定開示書面を含む。)、正式加盟に向けた営業を行います。その際、本部は加盟店に対して、加盟するかどうか検討できるだけの情報を提供しますが、その中には、仕入れ価格、売り上げデータなど、営業秘密に関する情報も多分に含まれますから、本部としては、この段階で機密保持契約書を交わしておくべきでしょう。

また、申込みの段階で、開店候補地の立地診断、店舗物件の紹介、売り上げシミュレーションなどを行ったり、それに対して、申込金が発生する場合には、だれが何をするのか明確にしておくためにも、加盟申込書を締結しておく方が無難です。

加盟店を募集する際の飲食業界特有のリスクとポイント

大前提ですが、フランチャイズ契約は複雑な契約です。細かいところまで定めておかないと、必ず、営業開始後にトラブルになります。飲食業界は、「どんぶり勘定」や「縁故」の文化が残っていますから、(特にチェーン展開の初期では)口約束で進めることも少なくありません。ただ、フランチャイズは、同じブランドの中で継続的に営業を進めていきますので、紛争化しても何らかの形で収集をつけなければならず、縁を切って終わりというわけにはいかないのです。

飲食業界は、「流行りすたり」の早い業界です。特にSNSの利用が常識となった現代では、メニューやブランドの陳腐化も早く、常に目新しい材料を探しているため、FC展開を始めたばかりでも、あっという間に加盟希望者が殺到する場合もあります。

 目先の店舗展開に捕らわれると、営業段階の話(見通しなど)と現実がかけ離れてしまったり、営業開始後の加盟店へのケア(営業指導など)が不十分になったりして、クレームや、最悪の場合、法的紛争にもつながります。一気に展開すると、それだけ陳腐化が早まる可能性も否定できません。

一気に展開するのではなく、足元を固めながら、確実に展開していくことをお勧めします。

フランチャイズ契約において気を付けるべきポイント

 飲食店のフランチャイズ契約において、気を付けるべきポイントを簡単に挙げてみます

 費用

   フランチャイズ契約は、本部が加盟店に対し、様々な権利を付与しますから、その対価もそれぞれ発生します。加盟金、ロイヤリティ、店舗設計費用、研修費用、本部宣伝費用など、本部が何をどれだけやるのか、それに対して、加盟店はいくら払うのか、など明記しておきましょう。費用が発生しない場合や、加盟店負担のものも、当然で済ませるのではなく、明記するべきです。

 テリトリー

   加盟店からすると、今後、自店の近辺に別の加盟店が来ることは避けたいところです。ただ、本部としては、一定のエリアでの独占権(テリトリー権)を決めてしまうと、今後のチェーン展開の足かせになりかねません。今後の出店があり得るのか、テリトリー権を認めても加盟してもらいたい希望者なのかなど、よく協議する必要があります。

 研修

   フランチャイズで重要なのは、本部による研修や指導です。開店前、開店後にどのような研修が必要なのか、各研修は加盟店の義務なのか権利なのか、費用はいくらかなど、細かく定めておきましょう。

 店舗の設計施工・什器備品の購入

   店舗の内外装(ファサード)の設計や施工、什器備品の仕入れ先は、ブランド価値を維持するために、本部にとって非常に重要です。本部のグループ会社や指定業者制にしておけば安心ですが、費用を巡って加盟店とトラブルになる場合もあります。契約で定めておくにしても、見積は早めに示しておくようにしましょう。

 仕入れ

   ほとんどのチェーンで、仕入れは、自社又は指定業者から行うものとしています。ロイヤリティの代わりに仕入れ代金で調整するチェーンもあります。細かいもの(消耗品や、代替の利く原材料)などまで仕入れ先を強制すると、独占禁止法違反になる可能性がありますので、それらについては、指定するグレードのものを求める程度にしておくことが多いといえます。

 メニュー・価格

   本部としては、メニューや価格、キャンペーンなどは同じグループ内でバランスを取りたいというのが本音だと思います。メニューについては、ブランドの中核ですので、ある程度拘束性を持たせる一方で、価格については、これを拘束すると独占禁止法違反になりかねませんし、実際に物価や地域の実情に応じて臨機応変に対応した方が、結果的に売上げ向上につながると思われます。

 違約金

   契約期間途中での解約や、契約違反行為があった場合については、違約金を設けておくことが多いと思います。

   過去の平均ロイヤリティから算出する方法や、固定で「何万円」と決めておく方法もありますが、後でトラブルになることも多いですので、本部としては、どのようなときにどのような違約金がかかるのか重点的に説明しておくべきでしょう。

当事務所の解決事例

  当事務所では、居酒屋、焼鳥店、韓国料理店、ラーメン店、テイクアウト業態など、多くの業種・業態において、一からFC本部の構築をお手伝いしてきました。

  まず最初に何からすればいいのか、どのくらいの期間がかかるのか、すでに希望者がおり急ぎで対応ができるのかなど、アイディア段階からでもご相談をお受けしております。

  また、フランチャイズに関するご相談の他、飲食業における労務トラブル(従業員トラブル)や不動産トラブル、消費者との間のトラブルや、キャンセルトラブル、など飲食業での企業法務を数多く対応しています。電話・メールでもご相談・ご依頼いただけます。

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