アルバイトの欠勤にペナルティ【アルバイトの欠勤に対してペナルティを課せるか】
郊外で焼肉店を数店舗経営しています。
パートや学生のアルバイトが大きな戦力で、ギリギリの人数でシフトを回しています。
ですから、突然欠勤をされると営業に大きな影響が出て、他のスタッフにしわ寄せが行ってしまい、大変に困っています。
体調不良や家庭の事情など、欠勤の事情は理解できますが、欠勤して欲しくないというのが本音です。
ペナルティを設ければ欠勤が減らせると思うのですが、どのようなペナルティなら許される範囲でしょうか。
(焼肉店 オーナー 40代 男性)
飲食店で従業員の欠勤は痛い
飲食店は、とにかく人手が必要ですが、1店舗に正社員は1名で、あとはアルバイトやパートタイム労働者を使うというのがほとんどだと思います。「ワンオペ」などの言葉も有名になりましたが、深夜帯などは1名で回すというのも珍しくはないでしょう。
そんなぎりぎりのスタッフ数で回している飲食店ですから、1名欠勤が出れば、店舗としてはそれをどうカバーするのか非常に大きな問題になります。
罰金は禁止されている
予防として、ペナルティを設けるという方法に至るのも、心情的には理解できます。ただ、法律上ということでいえば、あらかじめ労働契約において損害賠償額を定めておくことは一切できません。大手コンビニエンスストアで話題になったように、遅刻や欠勤につき、罰金を徴収するなどといったことは日本の法律では禁止されています。
飴と鞭で職場環境を管理する
どう対応するかというのは非常に難しい問題です。現実的には、飴と鞭になるのではないでしょうか。アルバイトのやる気をあげる仕組みを作りつつ、締めるべきところはきっちり締めるといった発想が重要になります。
飴としては、たとえば一定以上のシフト数や、欠勤率が低い人に対して手当てを設けるのも一つの方法だと思います。ある居酒屋チェーンでは、アルバイトスタッフだけを対象とした表彰式を行います。外部の大きな会場を借りて、ミュージシャンや芸能人などのゲストを呼び、ホールやキッチンなど部門を分けて表彰します。時にはご家族なども呼んで、ともにその栄誉を分かち合うのです。例として極端ではあるかもしれませんが、「アルバイトは目の前の仕事をやらせて、バイト代を払えばいい」のではなく、やりがいや責任感を持って仕事をさせることが重要です。
他方、鞭ということでいえば、先ほどの述べたように「事前にペナルティを設ける」ことは禁止されていますが、「実際に生じた損害を請求すること」は可能です。そこで、抽象的ではありますが、契約書内に、「事前の連絡なく欠勤した場合、これによって生じた損害を請求することがある。」といった内容を定めておき、しっかりとその旨を理解してもらうことも抑止力になるでしょう。
「欠勤はある」の前提で
何よりも大事なのは、「従業員の欠勤は絶対にある」という前提で、制度設計をしていくことです。メールやラインなどで連絡網を作り、代わりの従業員を見つけやすくする方法や、多店舗展開しているのであれば、多店舗からのヘルプを随時入れる仕組みを作るなどは基本的な方法でしょう。
アルバイトの欠勤でお悩みの方は、飲食弁護士の石崎冬貴にご相談ください。