2号店の出店、居抜き物件の契約で注意すべきポイントは?【居抜き物件】
都内で居酒屋を経営して3年になります。
おかげさまで経営も軌道に乗り、近い将来、2号店をオープンさせたいと思い、物件の情報を集めています。
コストを抑えられることから、居抜き物件の契約も視野に入れていますが、
知人から「居抜き物件は思わぬトラブルもある」と聞いています。。
具体的にどのような点に注意すべきか、教えていただけないでしょうか。
(オーナー 30代 男性)
「三方良し」に見える居抜き物件
以前のテナントが使用していた調理設備や椅子、テーブルなどの家具をはじめ、壁や天井の内装、カウンターや造り付けの棚などの造作が残っている「居抜き物件」は、元のテナントとしては、原状回復費用を軽減することができ、新しいテナントとしては、初期費用を抑えられる上、大家さんとしても、物件を隙間なく貸すことができる、まさに「三方良し」とも思えます。しかし、この居抜き物件については、トラブルも非常に多いです。
居抜き物件の賃貸借には大家さんの承諾が必要
新しいテナントとして気を付けなければならないのは、まず、大家さんとの関係です。一般的に、賃貸借契約は、転貸や譲渡を禁止しています。元のテナントから「大家さんの承諾はもらっているから安心してほしい」と聞いていたにもかかわらず、いざ譲渡した矢先、大家さんから、看板が変わっていることを指摘され、「譲渡など知らない。譲渡は認められないから退去してほしい」と言われてしまうこともあります。
現状回復をめぐるトラブル
原状回復についても、何も残さないまっさらな状態(いわゆる「スケルトン」)にまで戻すのか、居抜きで譲渡を受けたときの状態にまで戻せば足りるのか、しっかりと認識する必要があります。通常、新たに大家さんと結ぶ契約では、前者の場合がほとんどですが、居抜きで譲り受けたのだからその状態に戻せばいいと考えているテナントさんも少なくありません。「何が現状か」について事前にしっかり確認することが大切です。
内装や設備をめぐるトラブル
また、元のテナントさんとの間でも問題は起こります。例えば什器備品などは、通常は現状有姿(現在あるがままの状態)で売買しますが、あとで実は厨房機器が壊れていたとか、リース物件で、リース料を滞納していたといった場合、思わぬ出費がかさんでしまい、場合によっては営業できなくなってしまいます。このようなトラブルがあったときや、敷金の扱いなども、事前に元のテナントさんと取り決めておかなければなりません。
居抜き物件にはリスクが多い
このように、居抜き物件は、初期費用を抑えて開店できるメリットがある一方で、多くのリスクもあります。利用する際は、しっかりと勉強するか、専門家に相談することをお勧めします。
居抜き物件についてお悩みの方は、飲食弁護士の石崎冬貴にご相談ください。