自販機で「期限切れ」飲料を激安で販売…法的問題はないのか?
缶飲料が1本「10円」ーー。大阪市内で飲み物を衝撃的な価格で販売する自販機が話題となっている。
日刊スポーツによると、大阪市福島区に設置された自動販売機は、「何の飲み物が出るのかお楽しみ」つまり自分では飲み物は選べないものの、1本10円という破格で購入することができる。自販機を管理している卸売会社が、大量に仕入れて賞味期限が迫るなどした商品をこの「10円自販機」で販売してるそうだ。このほかにも、大阪市には、「賞味期限切れ」と張り紙をした上で、30円という値段で飲料を販売している自販機もある。
賞味期限切れが迫った、あるいは賞味期限切れの飲料を販売することは法的に問題ないのか。もし、何らかの健康被害があった場合、その責任はどうなるのか。石崎冬貴弁護士に聞いた。
コメント
結論から言えば、賞味期限切れの商品を売ったからといって、それ自体に罰則などがあるわけではありません。
細かい話ですが、賞味期限と消費期限というのは、似ているようで少し違います。消費期限は、その期間までは、劣化などによって安全性を欠くおそれがないというもので、弁当やお惣菜など、品質が急に劣化するいわゆる「生もの」などに示されます。賞味期限は、その期間までであれば、期待される全ての品質が保てるというもので、スナック菓子や缶詰など、しっかりと保存すればすぐには劣化しないものに示されます。
したがって、賞味期限は、味など品質の問題で、消費期限は単純に食べれるかどうかの問題といえます。消費期限を過ぎたものは、腐敗などによって人体に有害なものになっている可能性がありますから、食べない方がよいということです。
ただし、賞味期限切れや消費期限切れの商品を売ったらいけないか、というとそうではありません。罰則があるのは、腐敗したものや有害なものを売った場合ですので、期限切れかどうかは無関係なのです。
もちろん、それなら何を売ってもよいということではありません。これによって、食中毒などの被害が出た場合、販売会社や製造会社が責任を負う場合があります。大規模な事故などまで至れば、業務上過失致死傷罪などに問われる可能性も否定できません。ただ、商品そのものに欠陥があったのか、販売の際に販売会社に過失がなかったかなど、色々な事情を考慮しなければなりません。少なくとも、販売会社は、はっきりと「賞味期限切れ」「消費期限切れ」と表示したものとして売って、消費者が、それを分かって勝って食べたのであれば、相当の割合で、消費者側の過失も認められるでしょう。