「子ども入店お断り」は法律的にOKですか?【「子ども入店お断り」は可能か】
おじが経営するフレンチでアルバイトをしている大学生です。
これまではランチタイムだけお子さんの入店をOKとしていましたが、店内が騒ぐお子さんが増えたため、お断りすることになりました。
もちろん、ほとんどがお行儀よく過ごしてるお子さんばかりですが。
これまでのようにお子さん連れで来店されるお客さまに、入店ができなくなったと説明しても、なかなか理解してもらえず。
せっかく楽しみに来てくださったのに、お断りするのはとてもツライです。
お客さまを差別していることになるので、法律に触れるのではないかと気になっています。
法律上の問題がないか教えてください。
(アルバイト 10代 女性)
法的には店は客を自由に選べる
ランチタイムだけ子ども連れの入店を可能としていた飲食店が、店内が騒ぐ子どもが増えたために入店を断るようになったとします。このように「店が客を選ぶ」ことは可能なのでしょうか。大声で泣く、走り回る、食器を割るなど、子連れをお断りする理由は様々でしょう。
結論から言うと、店側は誰を客とするか、つまり、誰と契約するか自由に選ぶことができます。子供連れの入店を拒否することも自由です。他の例で言えば、いわゆるグランメゾンのような超高級店では、ドレスコードと共に、年齢制限があることも珍しくありません。
現実の対応は難しい
しかし現実の対応という意味では、なかなか難しい問題です。特に、開店からある程度期間が経って、途中からそういった条件を付ける場合には、既存の客との関係もありますから、対応方法が悩ましいと思います。
さきほどの子ども連れでの入店を断るようになった飲食店で言えば、これまでのように子ども連れで来店してきた客に入店ができなくなったと説明しても、理解してもらうことは簡単ではないかもしれません。
折衷案や逆転の発想も!
子供連れの客を排除することで、既存の客を失うデメリットの一方で、店は落ち着いた雰囲気を確保できるでしょうから新しい客層を開拓できるかもしれません。ですから、デメリットだけではないという考え方はできます。
折衷案としては、平日の夕方など、時間や曜日を限定して子供連れを可能にしたり、他の客に迷惑がかからないという理由で、個室であれば子供連れを可能とするお店もあります。
逆に、特に主婦層の多い喫茶店などの中には、子供連れを単に可能にするのではなく、子供を連れてきやすい環境を積極的に作っている店もあります。ベビーカーでの入店や子ども向けのメニュー・食器などはもちろん、授乳室やキッズスペースを作ったり、離乳食などの持ち込みを可能にするなど、「キッズ・フレンドリー」(子供連れにもお勧め)であることを前面に押し出すことで、固定客を確保しています。このような逆転の発想で、店の設備や営業方法を見直してもよいかもしれません。
色々な選択肢から最善の選択を
今の時代、SNSで子連れお断りで入れなかったという書き込みや心無い中傷が並ぶなどある程度の不名誉を被るかもしれず、店としては舵取りが難しいかもしれません。お断りするだけでなく、折衷案や逆に子連れで来やすい環境の整備など、いろいろな選択肢を考慮に入れて最善の選択ができるといいですね。
子連れの入店に関してお悩みの方は、飲食弁護士の石崎冬貴にご相談ください。