スタッフの不正、どうすればいい?【スタッフの不祥事】
郊外のファミリー向けの焼肉店でアルバイトをして1年になります。
オーナーは2号店の立ち上げて忙しく、店は古くからのスタッフが中心となって営業をしています。
決定的な証拠はないのですが、数人のスタッフがスタッフの友人が来店すると、オーダーを通さずに料理や酒を提供したり、店の在庫を無断で持ち帰っているようです。
私も同じことをしていると思われたくないので、なんとかしたいのですが、どうすればいいでしょうか。
(アルバイト 20代 女性)
横領は犯罪
飲食店における古典的な問題行為が、売上の着服です。当然ですが、これは犯罪(業務上横領罪や窃盗罪)ですから、しっかりと対応しなければなりません。スタッフ側は「このくらい別に」という軽い気持ちかもしれませんが、実際の材料費そのものだけではなく、その分の売上げが落ちるわけですから、その逸失利益を無視してはいけません。
立証は難しい
ただ、このような行為は立証が難しいのも事実です。多数の従業員がいて、かつ、現金勘定が避けられない飲食店においては、誰がいくら着服したか見抜くのが至難であるという点です。私自身、非常に多くの相談を受けていますが、事後的に対応することは容易ではないのが実情です。
帳簿上、明らかに数字が合わなかったとしても、「自分は心当たりがない」「お客さんが注文をキャンセルした」「作り間違えたので取り消した」などと反論されると、帳簿だけでは、証明できないのです。また、よく刑事告訴するという意向を示すお店もありますが、こういった事件では、告訴自体受理してもらうのが難しく、何年も準備してようやく警察が動いたとしても、実際の被害金額のごく一部というのが一般的な結果になっています。
疑わしい従業員をけん制する
実際にこの問題をどのように解決するかというのは非常に難しい面があります。例えば、この行為を強く注意したとしても、素直に認めるケースは少ないでしょうし、関係がこじれて、全員退職するということにでもなれば、店自体が回らなくなってしまいます。かといって、他の従業員の士気にもかかわりますから、見て見ぬふりもできません。
一般的には、「匿名で通報があった。何もないと思うけれども、間違われることはしないようにしてほしい」といった形で、けん制するくらいが関の山ではないでしょうか。
しっかりとした予防策を
少しドライに聞こえるかもしれませんが、世の中に犯罪がなくならないのと同じで、「飲食店における横領は避けられない」と認識し、しっかりと予防策を講じてください。従業員を疑うようなことはしたくないという意見もありますが、従業員を信頼することと、丸投げして盲信することは違います。お店としては、従業員を違法な行為に走らせない設備や環境を作り上げる義務があるのです。
例えば、入り口やレジの部分に向けて監視カメラを設置する、売上の管理や日報は一人に任せずダブルチェックさせる、本部で各店舗の売上げを毎日チェックするなど、やれることはたくさんあります。
従業員による着服は避けられない問題ですから、従業員に違法な行為をさせないためにも、しかりと予防策を講じることを強く勧めます。
スタッフの不祥事でお悩みの方は、飲食弁護士の石崎冬貴にご相談ください。